2014年7月15日火曜日

第12回 論文輪読(その3)

EHRシステム設計の欠陥

 拡張していくEHRシステムの機能はますます複雑なソフトウェアを必要とし、それはソフトウェアの障害の可能 性を高め、患者を傷つけることになるかもしれない。数百数千の医療記録を格納したEHRシステムにおけるソフトウェアの欠陥(たとえば患者のアレルギー情 報や処方を不正確に記録するような事態を引き起こす誤動作など)は、多くの患者に悪影響を及ぼすだろう。ソフトウェアのバグはデータをごちゃごちゃにし、 情報を削除し、間違ったところに保存するかもしれない。コンピュータは、医師が重要な患者情報を素早く見つけることいができないようなたくさんの組織化さ れていないデータを吐き出すかもしれない。データは不足しているかもしれないし間違いを含んでいるかもしれない(例えば、検査結果が何かの事情で余分な文 字が挿入されて戻ってくるかもしれない)。システムインタフェースの問題は、意思決定のまずさ、遅れ、データ消失、不要な検査、システム障害時間をもたら すかもしれない。

Poor System Usability and Improper System Use:貧弱なシステム操作性と不適切な使用

最 善には及ばない医療の質に潜在的に寄与するEHRの設計面での特徴や機能に加えて、過誤はシステムの不適切な利用からも生じ得る。操作性の誤りはシステム の複雑性、ユーザフレンドリーな機能の欠如(例えば、混乱させるユーザインターフェース)、ワークフローの非互換性、あるいはユーザの限界の結果として起 こる。混乱させるような画面表示があったり、プログラムが間違って単位の変換をしたため(例えば、ポンドからキログラム、あるいは摂氏から華氏)に正しく ない値が表示されるなどの欠陥のある機能性は医師に誤解を与えるかもしれない。紙ベースの医療記録では問題にならなかったEHRで生じる新しい種類のエ ラーは"adjacency error"(隣接エラー)である。それは、医療提供者が、例えば間違った患者選択や処方選択のように、ドロップダウンメニューで意図したものの隣の項目 を選択してしまうというものである。
 たとえば、構造化されたデータフィールド(選択リスト:変更することはできない)と自由記載のテキス トフィールドのように、データフィールド間の矛盾(不一致、食い違い)もエラーを引き起こしうる。たとえば、構造化されたデータフィールドは、1日に2錠 の薬を飲むよう指示している一方で、自由テ記載のテキストは朝2錠、夕1錠飲むように言っている場合などがそれである。他のエラーとしては矛盾する医薬品 の投与や情報の欠如がある。
 医師はますますコンピュータと複雑なプロセスの制御を共有している; ある場合は、彼らは高機能な監視の役割を当然するものと思い、コンピュータが日常の決定を行い、適切な行動を起こすことを許している(たとえば、ある処方 がオーダーされると、コンピュータが自動的にある検査オーダーを生成する等)。EHRは人間の介在がなければ直接患者に影響を及ぼすことはないが、この技 術はしばしば複雑すぎてユーザはその計算を解析することも理解することもできない。そのため、有能な人間の介在を用いることができない。たとえば、医師 は、そのアルゴリズムがどのように開発されたかやそのアルゴリズムは目の前にいる患者に関係するある医学的な状況や臨床要因を考慮に入れていないとか言っ たことを十分に理解せぬまま、コンピュータが生成した診断と推奨する処置を信頼するかもしれない。また、有能な人間の介在は、時間があり、モチベーション があり、そしてコンピュータが生成したデータや推奨についてじっくりと検討し挑戦する能力のあるユーザ次第である。これは、手術の最中やICUの中では当 てはまらない。
 回避策(次善の策)は、システムが実際の臨床やワークフローパターンをサポートするだけの柔軟性がない場合にしばしば使わ れる。 しかしながら、これらの回避策はさらに患者の安全性を弱体化し得る。たとえば、処方システムが、緊急時にさえ、医師がシステムにオーダーを入力するまで、 投薬を許さないとき、オーダの文書化は投与が行われた後に行われるかもしれない。そして、それは再投与(重複投与)を招くかもしれない。気が散るし混乱す るので警告機能などを無効化すると、重要な安全性の特徴が必要な時に使われないままになる。

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