2014年6月3日火曜日

第6回 医療ITの中の信頼基盤となる保健医療福祉分野PKI認証局のあり方(その3)

前回まで暗号技術の基礎を紹介してきました。やっとこれで本テーマの背景知識が整ったので、いよいよ本論に入ります。今日の講義では、なぜ、医療ITの実現にとってHPKIが必須の基盤になるのかを考えます。まず、医療分野におけるIT化と基盤整備の例として、①「どこでもMY病院」、②「シームレスな地域連携医療」が挙げられています。これらについて簡単に概観します。これらの取り組みは、2010年ごろから登場し、経済産業省や総務省、厚生労働省が実証実験を行っているようです。少し古い情報ですが(2012)、

  • 「シームレスな地域連携医療=病院の医師同士の連携」
  • 「どこでもMY病院構想=個人による意識的な疾病管理」
といった記述がネット上のサイトに見られます。また、

  • どこでもMY病院=医療機関のみで利用されていた医療情報を、国民本人が自ら管理・活用できるようにするサービス
  • シームレスな地域連携医療=あらゆる境界を超えて切れ目のない医療・介護情報連携を実現し、地域の医療・介護サービスの質向上を目指すもの
といった説明も見られます。
また、最近の動向として、第17回日本医療情報学会春季学術大会(2013年)で、実証事業で明らかになった医療・健康情報活用の成果と課題が発表されているようです(記事)。それによれば、
  • 情報を保管する仕組みの構築
  • 患者から同意を得る仕組みの構築
  • 端末自身のセキュリティ機能の明確化
が重要であるとしています。特にセキュリティに関しては、端末の紛失・盗難防止対策、不正利用・なりすまし対策などに関する運用ルールに言及されています。また、連携に最低限必要な情報として、基本情報、処方履歴、検体検査結果、アレルギー情報、既往歴、禁忌情報、感染症情報などを挙げていました。どれも一筋縄ではいかない問題ばかりです。
さて、HPKIについてですが、2005年に厚生労働省が「保健医療福祉分野PKI認証局 証明書ポリシ」を策定しました。これに則って運営される認証局のことをHPKIといいます。この枠組みの中で実際に運営されている認証局として「日本医師会電子認証センター」(2014年本格稼働)があります。現在、HPKIはどうなっているのかとネットで検索したところ「日本におけるヘルスケアPKI (HPKI)の最新動向」(2009)というのがありました。2009年の情報なので、最新動向でもないのですが、このくらいの情報しか見つかりません。平成25年3月1日に厚生労働省が「保健医療福祉分野の公開鍵基盤(HPKI)認証局の運営に関する調達」を公募しています。これに対して「ジャパンネット株式会社」というところが平成25年4月1日に落札しています(落札価格2,560万円)。ということで、まんざら動きが停まっているわけでもないようです。

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